夜のくもざる―村上朝日堂短篇小説 (新潮文庫)
冗談《じょうだん》を語り《かたり》、哲学《てつがく》を醸す《かもす》。
イラスト《いらすと》の抽象的《ちゅうしょうてき》なイメージ《いめーじ》もそうですが、村上《むらかみ》氏《し》の短編《たんぺん》に含ま《ふくま》れる、どこか哲学的《てつがくてき》な世界観《せかいかん》が私《わたし》は好き《すき》です。何《なに》を意味《いみ》しているのかと聞か《きか》れると、私《わたし》には全く《まったく》わかりませんが、どことなく他愛《たわい》もない冗談《じょうだん》の中《なか》に重要《じゅうよう》な何《なに》かが隠れ《かくれ》ているような気《き》がして、常に《つねに》楽しめ《たのしめ》る。
意味《いみ》がないからつまらないのか、と言う《いう》とそうでもなく、哲学《てつがく》がわからないから面白く《おもしろく》ないのか、と言わ《いわ》れてもそうでもない。退屈《たいくつ》せずに一《1》冊《さつ》の意味《いみ》のわからない短編《たんぺん》を読み続け《よみつづけ》ていられるというのも、村上《むらかみ》氏《し》の類まれ《たぐいまれ》なる―私《わたし》は今まで《いままで》にその類《るい》の文章《ぶんしょう》を見《み》たことがありませんが―文章力《ぶんしょうりょく》によるものだと思い《おもい》ます。
村上《むらかみ》氏《し》の文章《ぶんしょう》に憧れ《あこがれ》て、このような短編《たんぺん》を書い《かい》てみようとしても全く《まったく》できない。本書《ほんしょ》におさめられているような本当《ほんとう》に短い《みじかい》短編《たんぺん》を書く《かく》という行為《こうい》でも、やはり村上《むらかみ》氏《し》の絶大《ぜつだい》な筆力《ひつりょく》、想像力《そうぞうりょく》に圧倒《あっとう》されてしまいました。
一《1》時間《じかん》足らず《たらず》で読め《よめ》てしまうので、村上《むらかみ》氏《し》の作品《さくひん》を読ん《よん》だ事《こと》のない人《ひと》にはやや抵抗《ていこう》があるかもしれませんが、いくつかの作品《さくひん》を読ん《よん》で面白い《おもしろい》と感じ《かんじ》られる人《ひと》であれば、一読《いちどく》の価値《かち》はあると思い《おもい》ます。
切りつめ《きりつめ》られ練ら《ねら》れた文章《ぶんしょう》とおしゃれなイラスト《いらすと》・・・
村上《むらかみ》朝日《あさひ》堂《どう》の副題《ふくだい》がついた超《ちょう》短編集《たんぺんしゅう》。超《ちょう》短編《たんぺん》ということで数《すう》ページ《ぺーじ》の不思議《ふしぎ》な雰囲気《ふんいき》の作品《さくひん》が並ぶ《ならぶ》。安西《あんざい》水丸《みずまる》の極彩色《ごくさいしき》のおしゃれなイラスト《いらすと》がつくところは村上《むらかみ》朝日《あさひ》堂《どう》の他《た》作品《さくひん》と同じ《おなじ》。
従来《じゅうらい》の村上《むらかみ》朝日《あさひ》堂《どう》がエッセイ集《えっせいしゅう》であったのに対《たい》すると、本書《ほんしょ》は短編《たんぺん》小説《しょうせつ》、それも作品《さくひん》の長《なが》さからはさながら星《ほし》新一《しんいち》のショートショート《しょーとしょーと》より短い《みじかい》くらいの超《ちょう》短編《たんぺん》。もちろんテイスト《ていすと》は村上《むらかみ》調《まもる》。印象的《いんしょうてき》な短編《たんぺん》を多く《おおく》書く《かく》著者《ちょしゃ》らしく、切りつめ《きりつめ》られ、練ら《ねら》れた文章《ぶんしょう》は妙技《みょうぎ》といっていいのかもしれない・・。
渡辺《わたなべ》昇《のぼる》や笠原《かさはら》メイ《めい》といったどこかで見《み》た登場《とうじょう》人物《じんぶつ》が登場《とうじょう》していたり(とはいえ、「ねじまき鳥《ねじまきどり》」の登場《とうじょう》人物《じんぶつ》と同一《どういつ》人物《じんぶつ》というわけではない)、各所《かくしょ》で村上《むらかみ》ワールド《わーるど》を彩っ《いろどっ》てきたギミック《ぎみっく》、音楽《おんがく》、小道具《こどうぐ》、メタファ《めたふぁ》が登場《とうじょう》したりと一編《いっぺん》一編《いっぺん》は短い《みじかい》といっても著者《ちょしゃ》のファン《ふぁん》にはニヤリ《にやり》とするものが少なく《すくなく》ない・・・。
さて本稿《ほんこう》は文庫版《ぶんこばん》の推薦文《すいせんぶん》ではあるが、本書《ほんしょ》についてはぜひハードカバー《はーどかばー》も見《み》てほしい。文庫《ぶんこ》でももちろん安西《あんざい》水丸《みずまる》のイラスト《いらすと》はカラー《からー》できれいに収録《しゅうろく》されているのであるが、箱《はこ》や表表紙《おもてびょうし》などおしゃれで凝っ《こっ》た装丁《そうてい》のハードカバー《はーどかばー》版《ばん》は一見《いっけん》に値《あたい》する。
とにかく可笑しい《おかしい》
大人《おとな》になった今だ《いまだ》から分かる《わかる》笑い《わらい》ですね。
(なんて書く《かく》と今《いま》の私《わたし》がいかにも大層《たいそう》な者《もの》みたいですが・・・)
圧倒的《あっとうてき》な不条理《ふじょうり》を笑い《わらい》に昇華《しょうか》させるユーモア《ゆーもあ》センス《せんす》はやはり並大抵《なみたいてい》のものじゃないなあ、と思わ《おもわ》せられます。
また、安西《あんざい》さんのイラスト《いらすと》がいいんだ、これが。
凄い《すごい》よ、この2《2》人《にん》のベスト《べすと》マッチ《まっち》っぷりは。
がちゃがちゃマシーン《ましーん》のような作品《さくひん》集《しゅう》。
何《なに》が出《で》てくるかわからないどきどきの超《ちょう》短編集《たんぺんしゅう》。
とっても楽しめ《たのしめ》ました。ナンセンス《なんせんす》なパラレル《ぱられる》ワールド《わーるど》のてんこもり。安西《あんざい》さんの絵《え》も楽しい《たのしい》し、本《ほん》の内容《ないよう》と必ずしも《かならずしも》合致《がっち》していないので読み手《よみて》の想像《そうぞう》の世界《せかい》を広げ《ひろげ》てくれます。
???
はっきり言っ《いっ》て、意味《いみ》が分かり《わかり》ません。そんな話《はなし》ばかり。でも、読み進め《よみすすめ》ていくうちに段々《だんだん》とこれらの文章《ぶんしょう》の味わい《あじわい》方《かた》が分っ《わかっ》てくる。あとがきにあるように意味《いみ》のない話《はなし》だけど、考え《かんがえ》て苦労《くろう》した文章《ぶんしょう》もあるということがうなずけます。最後《さいご》の話《はなし》など、所々《ところどころ》の話《はなし》は村上《むらかみ》さんらしいなぁ、と思う《おもう》感じ《かんじ》で深い《ふかい》メタファー《めたふぁー》の世界《せかい》が楽しめ《たのしめ》ます。すべての文章《ぶんしょう》を読ん《よん》でこそこの本《ほん》の良《よ》さが分る《わかる》と思い《おもい》ます。

